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【Cセグ ディーゼル比較】コンパクトカーでこそ活きるディーゼルの味とは…南陽一浩

自動車ニュース

注目の「ハッチバック×ディーゼル」4車種を南陽一浩氏が解説全 36 枚写真をすべて見る

経済性に優れるだけでなくパワフル。そんな特徴をもつディーゼルエンジンを搭載したハッチバックモデルがにぎわいを見せている。コンパクトなボディは取り回しに優れるだけでなく、最先端のクリーンディーゼルエンジンを積むことで、ガソリンモデルに負けないスポーツ性能を発揮する。

そんな「ハッチバック×ディーゼル」に注目し、昨年7月に最新クリーンディーゼル「BlueHDi」が搭載したプジョー『308』、北欧生まれで安全装備が充実したボルボ『V40』、個性派モデルのMINI『5ドアハッチバック』、そして国産車のマツダ『アクセラスポーツ』と4台のCセグメント・ハッチバックを集めた。その特徴、走りをモータージャーナリストの大谷達也氏と南陽一浩氏がレポートする。後編は南陽氏によるインプレッションをお届けする。

もしかしていちばん欲張りなCセグのディーゼル…プジョー 308 GT BlueHDi

「308 GT BleuHDi」は、2000rpmとトルクピークがボルボのD4の1750rpmより高く、引っ張る必要ゆえ、それがディーゼルらしからぬパンチ力に繋がっている。個人的には、同じくBlueHDiで鼻先が100kg近く軽い1.6リットルターボのほうが好みだが…。とはいえ高速道路でのクルーズは得意種目。下道でも粘っこく正確なロードホールディングゆえ、疲れ知らずだ。

赤ステッチが控えめに効いたGTのスポーティな内装は静的質感も高いし、かつ後席や荷室もCセグメントとして申し分ない実用性と快適性を備える。スイッチ類の少ないインターフェイスも今風で、エルゴノミーのよさは特筆モノ。腕や目線が必要最小限の動きで、各機能に効率よくリーチできる感覚に優れているのだ。

良質のベーシックさを感じられる…マツダ アクセラスポーツ 15XD プロアクティブ

1.5リットルのスモールディーゼルに1360kgの車重、さらに輸入車勢と違って16インチの60扁平という背伸びしないタイヤ&ホイールもあってバランス感に期待していた。

しかし、270万円弱という価格帯は魅力的だが、輸入車勢がレザーをふんだんに採り入れた内装グレード中心だったせいもあり、静的質感でも差があった。低速域の乗り心地で妙なピッチングが目立ったし、270Nmのトルクは物足りなくはないが、力強さも一切ない。静粛性という点でも一歩、譲ってしまう。

それでもステアリングのしっとりした手ごたえと鼻先の軽さ、旋回に入ってからの“オン・ザ・レール感覚”は楽しめた。市街地を中心に乗った限りだが、雑味の少なさゆえにレンタカー向きという印象だ。

完熟の果てに手に入れたプレミアム感…ボルボ V40 D4 R-Design ポールスターエディション

「R-Design」の外観は“控えめスポーティ”なので、逆に好印象かもしれない。1540kgと決して軽いクルマではないし、プラットフォームは旧い。だがノーマルでも低回転から鬼トルクなのに「ポールスター エディション」はプログラム書き換えで+10%の440Nm。個人的に輸入車の2リットルディーゼルでD4はいちばん好きかも。

ボディの剛性感もシャシーの熟成度も高く、走りの熱さとプレミアム感がほどよく調和している。惜しむらくは18インチホイールのせいか、低速では路面の荒れを敏感に拾って、少し揺すられるような乗り心地である点。街を出て速度域が上がれば足まわりの剛性感が頼もしい分、街では窮屈な感覚なのだ。

毛並みもしつけもいい、大型犬のような一台。

非ゴーカート・ハンドリングでも上々…MINI クーパーD 5ドアハッチバック

「丸」モチーフ尽くしのハイテンションな内装を、好き嫌いで語るのはもはやナンセンス。「ミニ ワールドへようこそ」という歓迎メッセージは受け取りつつも、シャシー設定が電制化したおかげで、意外としなるノーマルの足まわりなら乗り心地は上々。

得意のゴーカート ハンドリングは選択式で、安定志向のシャシーを力業でクイックに曲げている感覚はあるが、見かけよりずっしりした乗り味ではある。

3気筒とは聞かされなければ分からない、1.5リットルディーゼルはパンチ力も十分で、6速ATも十分に滑らか。後席は5ドア化されたことで飛躍的に乗りやすくなり、その座り心地は長時間向きではないが、このセグメントのハッチバックとして快適性は及第点といえる。

南陽一浩|モータージャーナリスト
1971年生まれ、静岡県出身。大学卒業後、出版社勤務を経て、フリーランスのライターに。2001年より渡仏し、パリを拠点に自動車・時計・服飾等の分野で日仏の男性誌や専門誌へ寄稿。現在は活動の場を日本に移し、一般誌から自動車専門誌、ウェブサイトなどで活躍している。

《text:南陽一浩》

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