アクセスランキング

ARC AUDIO PS8/DSPの魅力を探る

カーオーディオカーオーディオ特集記事

ARC AUDIO PS8/DSPの魅力を探る全 7 枚写真をすべて見る

米国・ARC AUDIO(以下アークオーディオ)、イスラエル・MOREL(以下モレル)など著名ブランドを輸入する(株)明宝自動車。同社のデモカーを聴く機会を得たのでご紹介しよう。

このCROSS POLOはハイレゾをメイン音源にアークオーディオ・PS8を搭載することにより実在的なサウンドを叶えてくれるシステムとなっている。コンポーネントの流れはソニーウォークマン・NW-WM1Z、オーディオテクニカ・AT-HRD5、アークオーディオ・PS-8、パワーアンプは4200SE/Tradとサブウーファー用にARC Xdi650i搭載。フロントステージはモレル・Supremo 602アクティブ、そしてサブウーファーは25cmのULTIMO Ti104をチョイス。フロント2ウェイ+1サブウーファーの構成である。

アークオーディオはカリフォルニアに本拠地を置き1998年1月に創業というから来年で20年を迎える。主幹エンジニアであるロバート・ゼフは他社と一線を画する高性能パワーアンプ(ESシリーズ)を完成させ、世界のファンか絶大な評価を得ている。その後プロセッサー作りに着手、2013年にDSP8を発表する。このモデルは高度なDSPと8chのアンプを内蔵した一体型で純正オーディオに対応。デジタルクロスオーバー、タイムアライメント、イコライザーと各部の調整が自由に設定ができること。そして価格を超えたパフォーマンスの高さから愛用者は非常に多い。

さて搭載のPS8はハイエンドユーザーの要望を満たしてくれる能力の高いDSPだ。アナログ入力6ch(RCAまたはハイゲイン入力)、デジタル入力(同軸と光/オプティカル)を装備。出力8ch(RCA)を可能とし高出力8V、0.006%THDをマークする。強化電源回路をはじめ、高音質OPアンプ、ハイグレードなPCBの採用ほか、DSPに目を向けるとタイムアライメント、フェイズコントロール、バリアブルQ、高精度クロスオーバー/最大-48dBスロープ、1/3oct.248バンドイコライザーとハイエンドに相応しい機能を誇る。心臓部はAudio Optimized 32-Bit DSP/192kHz-32BitコーデックDAコンバーターを投入。またシーラスロジック社のコアユニットを搭載により正確なコントロールを可能としている。

オプションのコントローラー PSC(操作部)は小型で使いやすく場所を選ばない。音量調節(Dual72Bitのボリューム性能)ほか、ノブをクリックすれば各部操作、プリセットの呼び出しができる。バランス、フェーダー、サブウーファー、デジタル入力&アナログ入力の切り替え、クロスオーバー&スロープ、位相補正もミリセカンド単位で綿密に調整できる。いちいちPCを立ち上げることなく、手元で操作できる便利さは秀逸。もちろん基本的な各機能のセッティングはPCで事前に行う。

PS8は高性能&多機能というだけでなく、音づくりにも積極的でプリアンプ回路にローノイズ設計のOPアンプを4個搭載。OPアンプとはオペレーション・アンプリファイアー(演算増幅器)の略で非反転入力(+)と反転入力(-)の出力を備えたモジュールのことをいう。OPアンプの良し悪しが音質に大きく影響するが近年、高品位なOPアンプが比較的、安価で手に入るようになった。たとえばリニアテクノロジー、テキサスインスツルメンツ、バーブラウン、新日本無線、ナショナルセミコンダクターなどがある。既存のOPアンプはテキサスインスツルメンツ社のNE5532Pなのだが、PS8は他メーカーのOPアンプと任意で交換ができる。これらOPアンプを換装する場合、事前にアークオーディオの特約店に相談してほしい。互換性、品番によって音質が異なるからだ。その中でベター、ベストを選んでほしい。純国産、新日本無線のMUSES(ミューズ)01と02に人気があるようだ。日進月歩OPアンプは新しくなり高性能化が図られているという。

サウンドインプレッションは十分なFレンジと高いダイナミックレンジを確保。一聴してS/Nの良さが際立つ。これもハイレゾDAPとPS8の組み合わせならでは。情報量に富み緻密でいて、押し付けがましいところはなくナチュラル。モレル・Supremo 602の再生能力はさすがだ。音創りのポイントはアナログの雰囲気を上手く引き出しているところ。とくに中低域は厚みがあり闊達。高音域は倍音(ハーモニックス)が丁寧に表現されていて艶がある。無味無臭という優等生的なサウンドが多い中、血の通った人間らしさがいい。今後、DAP+DSP構成が増えるに違いない。アナログサウンドの重要性、パースペクティブな表現力が大きなテーマになるだろう。

《text:永松巌》

編集部ピックアップ

TOP