通常の宅急便規格では送ることのできない大型荷物を取り扱う「ヤマト便」。ヤマト運輸は、宅急便とともにヤマト便についての値上げとサービス内容の変更を公表した。
旧運賃との比較で106~158%の値上げを行う。利用者にとってより大きな影響は、それに伴うサービス内容の変更だ。
これまでのヤマト便は、荷物の大きさ・重さ共に上限がなかったが、今回の改定では、荷物1個の重さを30kgまで、大きさも三辺合計で200cm、再長辺は170cmまでなどの引受条件が設定された。
さらにヤマト便は、宅急便のように配達日を約束せず、配達は全国3~5日程度と幅をもたせていた。この点も、配達期間を全国翌々日配達と定めた。配達日・時間指定ができないのは、従来と同じだ、
同社はこの改定理由の第一に「新たな労働力の確保や社員の処遇改善」を上げている。
なぜならヤマト便を運ぶドライバーと宅急便を運ぶドライバーは同じ。1人のドライバーが宅急便と混載で、宅急便集配の合間に行う。重量・大きさ制限のないヤマト便の集配業務でも1人でこなすのが普通だ。
ヤマト便の利用は法人個人を問わず、ベビーカーやベビーベッド、サーバーなど大型の電子機器、自転車、引越しで運びきれなかった家財などの需要に支えられている。
こうした大きな荷物と宅配便を混載して業務をしなければならないため、ドライバーにとっては、ヤマト便集配の有無が、その日の集配計画に大きく影響し負担となっていた。同社が改定理由とした「処遇改善」には、こうした現場の事情が大きく作用している。
ヤマト便の運賃体系は宅急便とは大きく異なる。宅急便のようにブロックごとの運賃にはなっていないため、同一地域でも集配地域によって運賃は異なる。また、複数口の荷物の総重量でも運賃が変わる。
例えば、最も運賃が安い札幌市内集配、千葉市街集配は総重量30kgまで1469円が、新運賃では2111円に、東京23区内集配では1512円が2211円に値上がりする。実施は6月19日から。
《text:中島みなみ》