現行型『プリウス』ベースにプラグインでの充電を可能にした『プリウスPHV』が発売された。カーボンファイバー製リヤゲートの製造が追いつかず、販売が延期されてたプリウスPHVだが、そうしたパーツ関連の供給調整も整っての販売開始だ。
プリウスPHVはプリウスよりも上級のモデルという位置づけになっている。プリウスというキーワードを捨てて上級車としての道を選ぶという選択もホンの少しだがあったらしいが、結局はプリウスという名前とシルエットは引き継ぐことになったという。
プリウスPHVはその名のとおりプリウスにプラグインハイブリッドシステムを積んだモデルで、たとえ駆動用バッテリーの充電量がゼロになってもプリウスと同じ燃費性能が確保されている。実際、試乗している際の燃費は40~60km/リットルを行ったり来たりしていた。さまざまなことを試すために、走行モードを切り替え、アクセルの踏み方を変えると平均燃費が大きく振れる(給油後走行距離が短いということもあり)が、かなり無理をしても40km/リットルを切ることはなかった。
アクセルを踏んだときの加速感は相変わらずの力強さ。グイッと前に押し出すような力強さは大きなバッテリーを積んでいるモデルならでは。この加速感を味わってしまうと、2リットル程度のガソリンエンジンしか積んでいないモデルだともの足りなく感じてしまう。人間の慣れというのは恐ろしいものだ。
プリウスPHVは、プリウス、『C-HR』などと共通性のあるTNGAと呼ばれるプラットフォームを採用。このプラットフォームは、ビックリするほど剛性感のあるステアリング特性を持っている。とくにプリウスPHVはその剛性感が高く、直進時のステアリングはピシッと一本筋の通ったような感じで走る。そこからスッと切ったときの反応のよさも素晴らしい。15インチのエコタイヤと考えれば十分なレスポンスのよさだ。
プリウスが5名定員なのに対し、プリウスPHVの定員はリヤシートをセパレートとした4名定員。別にバッテリーがはみ出しているために4名定員となったわけではなく、5名定員にすることは可能であったが、わざわざ4名とすることで高級感を高めている。
たしかに乗ってみると3名掛けのシートよりもずっとゆったりとしている。大型のセンターコンソールによって左右が仕切られ、パーソナル感を引き上げていることも大きく影響している。それでいて、6対4分割でラゲッジルームのスペースアップもできてしまうところは、さすがプリウスだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★
諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。
《text:諸星陽一》