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今さら訊けない『サブウーファー』の基礎知識。Part.2「使い方について」

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サブウーファーの装着例。製作:ケンテック(福岡県)。全 1 枚写真をすべて見る

カーオーディオにおいて、『サブウーファー』はなくてはならない存在である。その理由は、ドアのスピーカーにはサイズ的なカベがあり十分な低域再生を望みにくいこと、ロードノイズで低音がかき消されること、以上の2点だ。

しかしながら、いざ『サブウーファー』を導入しようと思っても、種類が多く、どれを選べば良いのか、どのように使うと良いのかがわかりにくい…。そんなもやもやを一気に解決するための短期集中連載をお届けしている。毎回、全国の実力カーオーディオ・プロショップに取材して、『サブウーファー』についての素朴な疑問を、1つ1つ解決していこうと試みている。

第2回目となる今回は、福岡県の人気店、“ケンテック”代表の筬島(おさじま)さんからお聞きした話をご紹介していく。

■チェックすべきは、ブランドごとの傾向と、グレード。

最初に、選び方のポイントについてお聞きした。

筬島「皆さん、フロントスピーカーを選ぶ際には試聴もされますし、品質を重視されるのですが、『サブウーファー』は低音だけしか鳴らせないユニットであるので試聴もしづらく、結局のところ、“なんでもいい”と考える方もいらっしゃいます。選び方が難しいのは事実です。

では、迷ったときには何を基準に考えるべきかというと、“ブランド”と“グレード”ですね。ブランドごとで特長やサウンド傾向が異なっていますので、どんなサウンドが欲しいのかをショップと相談して、それに合うブランドをお薦めしてもらうといいと思います。そうすることでターゲットを絞れます。そしてその後にグレードを検討していきましょう。タイプやスペックは最後に確認すればいいと思うんです。

なお、価格が高いものには高いだけの理由があります。磁気回路が強力になればなるほど、振動板を動かす、止める、といった動作を確実に行えますし、フレームが屈強なほど動作も安定しますから、音に効いてきます。フロントスピーカーと同じように、高級品になればなるほど性能が上がっていきます。無理をして高価な製品を購入すべきではないと思いますが、グレードによる差はそれなりに大きいということを、頭に入れて吟味されると良いと思います。“作り”のしっかり感は、非常に重要です」

■取り付ける“向き”によって、サウンドのコントロールも可能!

さて、次からが今回のメインテーマとなる。使い方に関しての基礎知識を、あれこれと質問させていただいた。まずは、『サブウーファー』を搭載するときの“向き”について教えていただいた。

筬島「実を言うと、“向き”は結構重要です。“向き”によって得られるサウンドが変化するんですよ。もちろん、取り付け上の都合で“向き”を選べないケースもあり、その場合は取り付けた後のチューニングで音を追い込んでいけば良いのですが、取り付ける場所の選択肢があるのなら、欲しいサウンドを鑑みながら、“向き”を考えて設置場所を選びたいですね。

もしも音質を重視するのなら、室内に向けるのが良いと思います。サウンドコンペに出場しているクルマを見ると、リアシートのトランクスルーを利用して、その奥に設置して室内に向けていることも多いのですが、音質を重んじる場合には、その取り付け方法は理に叶っているんです。

対して、天井に向けたり、リアゲートに向けて付ける場合もありますが、こういった取り付け方においては、“迫力が増す”というメリットが得られます。低音にパンチを効かせたいときには、カベに向けて取り付けると良いですね。

ただし、最近のクルマは特に、ボディの鉄板の剛性が弱まっている傾向があり、低音をぶつけられたときに不要な共振を起こしてしまう場合もあります。鉄板が弱そうな車種においては、低音がダイレクトに当たる部分のデッドニングを入念に行うと、ベストですね。

ちなみに、トランクフロアやウォールにボックスを埋め込むスタイルを敢えて選ばずに、“箱載せ”タイプとすると、後から“向き”を変えられますから、その点ではメリットが大きいですよね。据え付け型と比べて製作コストは抑えられますし、お薦めです」

■どんな音が欲しいかによって、“単発”か“複数発”かを選びたい。

なお、『サブウーファー』を鳴らそうとするとき、モノラルで鳴らすか、ステレオで鳴らすか、どちらにするべきかも1つの悩みどころとなる。それについてもお聞きした。

筬島「ステレオで鳴らす場合は、2つのユニットを左右に離して使いたいところですね。となると、車室内が広いクルマのほうが、ステレオで鳴らすのに向いていると言えます。なお、軽カーのような狭いクルマの場合には、小口径のモデルを選ぶと、ステレオで鳴らしやすくなりますよね。

とはいいつつも、音質的なコントロールのしやすさでいえば、モノラルで鳴らしたほうが無難です。それも、複数発を使うよりも、1発使いのほうがいいと思います。発数が増えるに従って、サウンドをまとめるのが難しくなるんですよ。なので、音を優先させるのであれば、“単発モノラル使い”が基本になってきますね。

ただし、低音の量感や、パワー感にこだわるのであれば、複数使いのメリットが活きてきます。コントロールする難易度は上がりますが、取り付け方を工夫したり、サウンドチューニング機能を操ることで対処は可能ですし、複数使いが音に悪い、と考える必要はないですよ。むしろ、良いことも多いんです。

なお、複数発を鳴らす場合、接続方法を“並列”か“直列”か選ぶ必要が出てきますが、極端なことをしない限り、接続方法による音質的な違いは出てきません。“並列”か“直列”かは、インピーダンスをコントロールするための選択項目です。取り付ける都合上、後から整えていくべき項目なんですよ。インストーラーにとっては重要なことですが、それはインストーラーに任せれば良いことですので、音への影響を心配する必要はないと思います」

いかがだったろうか。『サブウーファー』は製品の選択肢が多いことに加えて、鳴らし方の選択肢も多い。設置の仕方や発数を考えることで、サウンドの方向性をコントロールできるのだ。欲しい音のイメージを持ち、どのような使い方をすればいいのかをプロショップと良く相談しよう。あれこれと思いを巡らせて、楽しみながら、製品選びをしていこう。

《text:太田祥三》

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