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【ホンダ NSX 新型】さらに世界の先を行ったスーパーハンドリング・スーパーカー…桂伸一

自動車ニュース

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まさに世界と戦えるスーパースポーツが誕生した!! と1990年の初代『NSX』の時もそう書いた覚えがある。

しかし今回はまさに世界のさらに先を行った!! 3モーターを使うハイブリッドスポーツカーに生まれ変わった新型NSXのメカニズムが凄い。先に登場している最高峰セダン、『レジェンド』のパワーユニットを前後逆さまに使う…という話が聞こえた事もあるが、違う。

ホンダが進めるSH-AWD(スーパー・ハンドリング・オールホイールドライブ)に、まさに核となる新制御、2つのモーターが前輪左右をそれぞれ独立して駆動制御する。レジェンドは後輪に同様のシステムを使うが、NSXはステアリング、舵角に連動して駆動制御する、という極めて難しい制御に挑戦した。曲がるためにこれほど強力な武器はないだろうと思える。まさに正真正銘のハイブリッド・スーパースポーツ、世界をリードするスーパーハンドリングスーパーカーになったNSXの神髄だ、と個人的には思う。

改めてNSXを見ると、押し出し成形アルミ材を中心にスチールやカーボン他複合素材で構成されたスペースフレームが新しい。初代NSXが独自に開発したオールアルミによるクルマ造りだが、時代とともに素材も進化。成形、強化する技術や軽量にもなり、オールアルミの必要はないという結論だ。適材適所、必要な部分に最適な素材を使い分ける。そこもホンダらしい研究開発と挑戦だ。

エンジンは新開発3.5LリットルV6ツインターボ。当初は横置きだったモノを、「やはりスーパーカーは縦置きだろう」という事で積み直した!! と、いまとなっては開発陣の言葉も軽いが実際、大事だった事はシロートの想像レベルではない。

パワートレインを前から言うと、前輪に27kWのモーターを2基/センタートンネル部分に3モーターを制御するパワードライブユニット/リチウムイオンバッテリー/3.5リットル V6ツインターボエンジン+クランクシャフトに直結した35kWのダイレクトドライブモーター+9速DCTの配列。

レジェンドのトランスミッションでボタン操作に違和感があった。同じモノがNSXのセンターコンソールに収まると、このためだったのか!? と、先進性を感じさせる。人間、いい加減なものだと思う。

モーター走行主体の「クワイエット」電源ONのデフォルトは「スポーツ」。やる気モードは「スポーツ+」、サーキットは「トラック」と走行パターンに応じて4つの走行モードが選べる。

お披露目会やモーターショーで幾度となく見て来たNSXを遂に自然光の下で眺める。純粋にカッコいい。全日本GT選手権で戦っているし、もう見慣れた感は無くもないが、“鮮度”は落ちていない。そこが良かった。

すでに海外試乗会もサーキット試乗会も行われているが、筆者は公道が初乗り。かえってそれが良かった。生活道路をどう駆けるか、NSXの特性がより濃く体験できたからだ。

過去、R32型『GT-R』の、自分の運転技術が急激にアップしたかのハンドリング。近々ではテスラのルーディクラスやインセインモードによる0-100km/h 3秒の驚愕の加速G。それらと並ぶNSXの衝撃は、現状わずか100名の手にしか入らない。初代NSXは輸出用左ハンドル仕様が、プレミアム価格とともに逆輸入された。新型NSX…再びであろう。

〈取材協力 ホンダ〉

桂 伸一|モータージャーナリスト/レーシングドライバー
1982年より自動車雑誌編集部にてレポーター活動を開始。幼少期から憧れだったレース活動を編集部時代に開始、「走れて」「書ける」はもちろんのこと、 読者目線で見た誰にでも判りやすいレポートを心掛けている。レーサーとしての活動は自動車開発の聖地、ニュルブルクリンク24時間レースにアストンマー ティン・ワークスから参戦。08年クラス優勝、09年クラス2位。11年クラス5位、13年は世界初の水素/ガソリンハイブリッドでクラス優勝。15年は、限定100台のGT12で出場するも初のリタイア。と、年一レーサー業も続行中。

《text:桂伸一》

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