カーオーディオ・ユニットの選び方について、多角的に検証している。先週からは、「好みの音の探し方」の解説をスタートさせた。今週はその続きをお贈りする。プロショップに設置されている“デモボード”の聴き方のコツをご紹介していく。
先週は、“デモボード”を聴くときのコツとして、「愛聴CDを持って行く」ことをおすすめした。今週は、それをかけながら、どのような点に注目して聴けば良いのかを解説していきたい。
結局のところは、“ぐっとくるかどうか”である。理屈ではなく、ぱっと聴いたときに「おっ」と思えるか否か。好きだと思える音からは、心に引っかかる何かが感じられるはずなのだ。その何かがあるかどうかを確かめていただきたいと思う。
ついつい体が動いてしまう、とか、妙にボーカルが色っぽい、とか、楽しい気分になるとか、じわじわ泣けてくる、とか、どのような感じ方でも良い。他にはないぐっとくる何かを感じさせるものがあったら、そのスピーカーは有力な候補になり得るだろう。
さらには、細部にも注目してみよう。ドラムのハイハットとか、ベースラインとか、ギターのバッキングとか。その1つ1つをスピーカーごとで比べてみると、それぞれの特長がつかめてくるはずだ。高音楽器ならば、きめ細やかさや、スムーズかどうかに注目してみよう。低音楽器なら、音のハリ、固さ、伸び、反応スピードあたりにも注目したい。そしてそれぞれが“心地良いと感じるかどうか”を確認していこう。優劣を感じ取ろうとする必要はないと思う。自分にとって“心地良い”と思えるかどうか、そこを聴きわけてほしい。
また、1つ1つの音の輪郭のシャープさにも着目したい。1つ1つがキリッとしていると、各楽器の音色を楽しみやすい。また、余韻の残り方、響き方についても耳を澄ませてみよう。ここは好みが分かれるところでもある。美しいと感じられる響き方かどうかも、ぜひともチェックしていただきたい。
そして繰り返しになるが、上記のチェックポイントの数々に耳を傾けるとき、判断すべきは、“好きだと思えるかどうか”である。自分以外の100人がそれを嫌いだと言ったとしても、自分が好きだと思えたなら、それが正解なのである。
さて、次週もさらに深く“自分好みの音”を探す方法について解説していく。次回もお読み逃しなきように。
《text:太田祥三》