標準の『DS 4』に対し全高が30mm高く、ロードクリアランスも+20mmの170mm。とはいえ乗り込む際も、乗り込んで運転席に収まってみても“目線が高くなった”実感はほとんどない。不思議なものである。
思うに同車のもともとの視界の良さが、多少の視界の変化を相殺しているらしい。サンバイザー部を押し広げてフロントガラス上方の面積が広げられるパノラマ機構は当然として、改めて見渡せば、低くスッキリしたウエストライン、スリムなピラー類が、明るく広い視界を確保している。なので実用車としての取り回し性のよさは抜群、だ。ちなみに全高は1530mmと、日本の立体駐車場でも不自由しない設定になっている。
外観は専用グリル、ルーフレール、樹脂製フェンダーエクステンション、さらにリヤのCROSSBACKのバラ文字の車名エンブレム等が識別点。黒色のホイールも専用だが、タイヤサイズは215/55 R17 94Vと、標準車と共通。車重も同じだ。
乗り味は同系統のシャシーの『DS 5』比でマイナス200kgの車重とミシュラン・プライマシーのトレッド面のマイルドな感触とで、概ねフラットでスムースだ。個人的基準だが、近年のコイルバネ系シトロエンで乗り味のベストは、丸いルーフラインの先代『C4』のベースグレード。世代差はあるがDS 4自身は大径タイヤの重さとサイズ分スポーティな味わい。さらに『DS 4 クロスバック』はベース車より重心が上がっている分、コーナリングはより穏やかに駆け抜けるべき…そう感じた。
1.6リットルターボと6速ATの動力性能はクルマに見合っていて、ゆったりとも快活にも走れる。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。
《text:島崎七生人》