目からウロコが100枚は落ちた。鮮やか過ぎる走りが、試乗前の想像を遥かに超えていたからだ。こと走りに関してすべてのトヨタ車がこのセンスでまとめられたらいいのではないか…そう思えた。
パワートレーンが何といってもいい。“ダウンサイジングターボ”を謳いながら、しっかりとモノになっている。速度や加・減速などの状態、アクセル開度による反応、高回転域までのストレスのない吹け上がり…などどれも申し分なしで、実に自然。ターボのせいか聞こえるエンジン音、排気音もボリュームが適度で、音質も耳に心地いいほどだ。1.2リットルの排気量をすっかり忘れさせてくれる。
加えてCVTの仕事ぶりも、的確な“先回りの制御”のおかげで、絶妙な変速をこなしながらエンジン性能を引き出してくれる。近年のツインクラッチ付き2ペダル車にもヒケをとらず、爽快な走りを支える重要な役割を果たしている。
乗り味、ステアリングフィールも全体にしっとりとした味わい。ドイツやラテン系の同クラスのライバル車と肩を並べる出来だ。もちろんロードノイズも上手に丸められている。
試乗車は「RSパッケージ」で、シート表皮等、上質感は十分で落ち着いた味わい。外観デザインは好み次第だが、サイドスカートはなくてもいいかも…というのが個人的な感想だ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。
《text:島崎七生人》