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【トヨタ マークX GRMN 試乗】なめてかかると痛い目にあう…中村孝仁

自動車試乗記

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そもそも、『マークX』をマニュアルで乗ろうという奇特な御仁がどれほどいるか不明だが、一見大人しい地味なクルマもチューンするとこのように変身できるという典型がこれ。

決して馬鹿にするわけではないけれど、マークXというクルマはどう考えても若者に似合いそうなモデルではない。齢40を超えて分別もわきまえた大人が乗って似合うクルマのような気がしていた。そんなマークXを、GAZOO Racingの面々がかなり辛口のクルマに仕立て上げたのがこのマークX GRMNである。そもそも見た目からして何やら少しだけ気合が入っている。変更箇所は広範に渡り、その外観や内装もさることながら、足回りやボディがしっかりと補強され、心臓部たる3.5リットルV6は、321ps、380Nmにまで高められている。

ズバリ、このクルマ、相当なじゃじゃ馬である。まず、すさまじくアクセルレスポンスが良い。それにマニュアルの6速と組み合わされているから本当の意味で美味しいスポットを使って走ることが出来る。迂闊にコーナーの立ち上がりでアクセルを全開にするとクルマはすぐに横を向こうとする。もっとも試乗の初期段階ではそんなことはなかったのだが、最後の数周でこうなった。こんなマークXにはこれまで乗ったことがない。

専用にチューンされたVSCを装備しているのだが、その介入の前に自分で勝手にステアしてしまうのか、VSCが介入してドリフトコントロールをしてくれるという印象ではなかった。断っておくが、これは袖ヶ浦フォレストウェイでの試乗。間違っても一般道ではない。最後のコーナー脱出時で滑り出すのは、もしかすると路面のタイヤカスを拾ったからかもしれないが、それにしても実に面白かった。

バランスはすこぶる良い。元来は重いクルマのはずだが一番効果のあるルーフをCFRPとしているから、頭が軽い。専用の19インチホイールとブリジストン、ポテンザRE050Aの組み合わせ。そしてブレーキも専用の4ポットキャリパーにスポーツパッドを装備したものだ。

残念ながら既に限定100台の販売は終了している。

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来38年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。

《text:中村 孝仁》

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