カーオーディオにおける“サウンド・チューニング”のイロハを、週イチでお届けしている当コーナー。今月も、先月から引き続いて「クロスオーバー」について解説していく。今週からは、パワーアンプに付属している当機能の使い方をご紹介する。
先月は主に、サブウーファーとミッドウーファー(ドアに装着されているスピーカー)間の「クロスオーバー調整」について解説してきた。今月はいよいよ、フロント2ウェイスピーカーの、トゥイーターとミッドウーファー間の「クロスオーバー調整」に焦点を当てていこうと思う。
ところで、フロント2ウェイスピーカーのクロスオーバー(帯域分割)を、“パッシブクロスオーバーネットワーク”というパーツによって実行している場合は、基本的には「クロスオーバー調整」を自分で行うことは不可能だ。どうしても「クロスオーバー値」を変えたいとなれば、“ネットワーク”を改造するか自作すれば可能となるが、知識と経験がないと難しく、実際、そこまでする人は少数派だ。
ちなみに、純正スピーカーの場合も普通は、なんらかの“パッシブクロスオーバーネットワーク”が仕込まれている。ミッドウーファーに対してはハイカットをせずに“フルレンジ”で鳴らしているケースも多いが、トゥイーターに対しては信号をローカットする素子が組み込まれている(トゥイーターにフルレンジの信号が入ると、トゥイーターは簡単に壊れてしまう。破損を防ぐ意味合いでも、トゥイーターへの対処はマストなのだ)。
さて、“パッシブクロスオーバーネットワーク”を使っている場合は、「クロスオーバー値」を自分で任意に変えることはできないのだが、システムレイアウトを変更すれば、それが可能となる。
どのように変更すればいいのかというと…。
もっとも手軽な方法は、トゥイーターとミッドウーファー間で使える「クロスオーバー機能」を内蔵した4chパワーアンプを導入すること、である。これを用いて、左右のトゥイーターと左右のミッドウーファーそれぞれに、パワーアンプの1ch分をあてがう、というシステムレイアウトを組めば良いのだ(このようなシステムは“マルチアンプシステム”と呼ばれている)。こうすることにより、パワーアンプに付属の「クロスオーバー機能」を使って、トゥイーターにはローカットを、ミッドウーファーにはハイカットをかけられるようになるのである。
今週はここまでとさせていただく。次週にさらに突っ込んだ解説を加えていく。乞うご期待。
《text:太田祥三》