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いじめが暴力・虐待上回る、ネットは過去最多…H27人権侵犯事件

教育教育

新規救済手続き開始件数と処理件数全 4 枚写真をすべて見る

 学校におけるいじめに関する人権侵犯事件が増加していることが、法務省の人権擁護機関が公表した「人権侵犯事件」の取組状況から明らかになった。いじめ事案は全体の18.5%を占めており、すべての事案の中でもっとも高い割合となっている。

 法務省の人権擁護機関では、人権侵犯事件調査処理規定にもとづき、人権侵犯を受けた者からの申告などから被害の救済に努めている。3月18日公表の平成27年人権侵犯事件の取組み状況によると、新規救済手続き開始件数は、前年より3.3%減の20,999件で、処理件数は前年より3.1%減の21,044件。新規救済手続き開始件数からみた特徴では、インターネット上の人権侵害(前年比21.5%増)、労働権(同10.8%増)、学校におけるいじめ(同3.2%増)の増加がある。

 人権侵犯事件の種類別構成比をみると、「学校におけるいじめ」3,883件が18.5%を占め、もっとも多い。ついで、「暴行・虐待」3,761件が17.9%、「住居生活の安全関係」2,756件が13.1%、「労働権関係」2,488件が11.8%。

 平成26年は、「暴行・虐待」19.0%、「学校におけるいじめ」17.3%の順で多かったが、平成27年は「学校におけるいじめ」が種類別構成比の最多を占める結果になった。人権擁護機関が取り扱う人権侵犯事件で、いじめ事案の割合がもっとも多くなったのは今回が初めて。全体の件数が減少する中いじめ事案は増加しており、ピークにあった平成25年の件数には及ばないが、憂慮すべき状況だという。

 具体的には、学校が十分な対応を行わなかったためにいじめが継続していると親が訴えた事例があった。法務局の調査で、親と学校とでいじめの認識が相違することが疑われたため、話合いの場を設けた結果、学校と申告者の関係が修復された。その後、児童が学級内で孤立するようすは見られなくなったという。

 また、インターネット上の人権侵害は、過去最高の1,736件に達した。このうち、プライバシー侵害が1,041件、名誉毀損が485件。全体では前年より307件増加しており、10年前である平成17年の272件と比べると6.4倍の差となっている。

《text:黄金崎綾乃》

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