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【ボルボ XC90 試乗】待たされただけある新世代ボルボ…島崎七生人

自動車試乗記

ボルボ XC90 T6 AWD Inscription全 10 枚写真をすべて見る

十年一昔というが、ボルボ『XC90』の場合、初代導入から実に12年8か月ぶりのフルモデルチェンジ。まるで人生それくらいゆったり暮らしなさい…と、言われているような? いずれにしろ従来型ユーザーなど、さぞ待ち遠しかっただろう。

そんな新型だが“待たされただけのことはある”が第一印象。まず魅力に感じるのはスタイリングだ。シンプルで優美なデザインテーマは、ここ最近の同社コンセプトカーで予告されてきたもの。市販車では初出だ。が、何にも似ていず、押し出しやアクを排したエレガントさは息を呑むほど。実にボルボらしいし、今後の新型車も今から楽しみだ。

内装も新しい。気に入ったのはキーフォブ(リモコンキー)で、内装材(レザーまたはトリム材)をあしらった上、ボタンを“横”に配したスマートで上質な仕上り。エンジン始動/停止を行なうコンソールのスイッチはノブ式で押さずに捻る方式。インパネ中央の9インチ画面(AppleのiPad miniよりひとまわり大きい)では主要機能がタッチ操作で行なえる。もちろんコクピットドリルは必要だが、1度マスターすればスムースに使いこなせ便利そうだ。

シートは指で押すと本革の表皮がフカッと柔らかいが、シート全体でしっかり身体を支えてくれる着座感が秀逸。豊かなボディサイズだけあり、2、3列目のスペースは十分あり、身長170cmまで想定されたという3列目も座面高がしっかりとられ実用になる。ラゲッジスペースは手慣れた造りで、通常はもちろん、3列目シートを畳んだ状態など、ミニバンを凌ぐ“広さぶり”だ。

車検証上2120kgの車重で4気筒の2リットルスーパーチャージャーターボ(320ps/40.8kgm)と8速ATを搭載。走行モードが切り替えられることもあり、動力性能は想像以上の十分さだった。乗り味は基本的に自然さ、快適さを実感するもの。ただし20インチの大径/幅広タイヤのせいか、走行中このクルマの車格や性格からイメージされる、よりしっとりとした乗り味を実感したい…とも感じた。このあたりは、今後登場してくるであろう、同じ新プラットフォームの他モデルとの“差分”でも再確認したいと思う。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

《text:島崎七生人》

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