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激変する大学入試、今後求められる力とは…Z会メテウス開発マネージャー寺西隆行氏に聞く

教育教育

Z会エデュース 首都圏中高一貫事業課長 寺西隆行氏全 6 枚写真をすべて見る

Z会が双方向・多方向の授業スタイル「メテウス」を開発

 Z会グループの教室事業では、主体的な学びを引き出すことを目的にした大学入試改革に備え、首都圏における中高一貫校の中学生対象の教室を「Z会東大進学教室メテウス」と改称し、2016年3月からスタートさせる。2021年度からの「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の最初の受験者の層が含まれる。

 「Z会東大進学教室メテウス」は、東大のほか、医学部や難関大合格に特化した少人数制の指導で、今後の大学入試で求められる主体的に学ぶ力を身につけていく。講師と生徒との双方向だけでなく、生徒同士の多方向でもやりとりを行う授業形態を採用する。

 たとえば英語では、クラスメイトや講師と対話を行うことで英語を表現のひとつのツールとして高めていく。数学では基礎事項のインプットにも重点を置きつつ、東大入試などで頻出される「証明問題」などにも対応できる“アウトプット”の能力を早期から身につけていく。

 また、授業の最後には必ず「振り返り」の時間を設け、受講生同士や講師によるフィードバックなどによって次へとつなげていく。また、学力が身についているかどうかの定点観測として、定期的に確認テストを行っていくのも、メテウスの大きな特徴だ。

子どもに教えてあげるのではなく「能力を引き出す」指導

 Z会の教室で、メテウス開発プロジェクトマネージャーである寺西隆行氏によると、「大学入試改革の答申でも取り上げている“学びあい、高め合う”アクティブ・ラーニングは、コミュニケーション力や表現力をつけるのに適して」おり、すでに東大入試でもこのような力が求められ始めているという。2015年10月にZ会の教室部門が新会社「Z会エデュース」として船出するにあたり、「子どもたちの能力を引き出すためには、これまでの講師からの一方通行による教え方ではなく、アクティブ・ラーニングの授業スタイルがより効果的であるという結論にいたったため、メテウスを開発するに至った(寺西氏)。」

 メテウスのスタートにより、これまでの「Z会東大進学教室」の中学部は、2016年度から「Z会東大進学教室メテウス」に改称する。カリキュラム自体はこれまでと変わらないが、授業形態は変更になる。ただし、この授業形態についても毎回双方向・多方向の場面が必ずあるというわけではなく、科目や単元によってインプットとアウトプットのバランスを柔軟に変えていくとしている。

 なお、寺西氏によれば「メテウスの理念とコンセプトは、これから大学入試改革が向かう方向と一致させている」ため、今後の高大接続システム改革議論によって授業形態や取り扱う問題が変化する可能性はある。しかし、「学力の3要素そのものを養成する」という理念はぶれることなく保たれるため、教科型学力も、そして主体的な学びも育成する東大・難関大・医学部志向の生徒に向けた講座であることに変わりはない。

 メテウスの語源は、ギリシャ神話の智慧をつかさどる女神に由来し、同社が昨年開校した「Z会東大個別指導教室プレアデス」と関連するもの。この名前について寺西氏は「これからの生きていく力をつけていくためには“智慧”が必要。これまでのように与えられた課題ではなく、漠然とした問題に対して自ら課題を設定し解決する力を持つという思いが、このメテウスという言葉にこめられている」と語った。

 「Z会東大進学教室メテウス」では、まず3月から春期講習が開講され、4月より本科がスタートする。本科は英語、数学、国語の3教科で、月4回(中1、2の国語は2回)120分授業を行う。授業料は1教科月額19,600円(中1、2の国語は10,300円)。教室は、御茶ノ水、渋谷、新宿、池袋、横浜の5校。

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《text:相川いずみ》

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