“トゥイーターのインストール学”をテーマに、カーオーディオの奥深さ、面白さを探究しようと試みている。トゥイーターを使いこなすための方法論の数々を、有名プロショップに取材しながらご紹介していく。第2回目となる当回は、「位置」について深掘りする。
今回は、広島県の実力店、「アミューズ」の岡本さんにご協力いただいた。早速お話をご紹介していきたい。最初に、トゥイーターの取り付け位置の決め方について、普段はどのようにしているのかをお訊きした。
「取り付ける前にまず、お客様のクルマに乗せていただきます。そして、取り付けるスピーカーのタイプを鑑みながら、どこに着けるとどのような鳴り方になるのかを頭の中でシミュレーションしてみます。その1つ1つをお客様にご説明し、その中からどれがお好みかを選んでいただきます。
それぞれでの聴こえ方の特徴、メリット、デメリット、そして加工の度合い、元に戻そうとしたときの大体のコスト等々までご説明して、総合的にご判断いただくようにしています」
予算や、加工の度合いも勘案しながら、合理的に取り付け位置が決定されていくわけだ。
では、予算や加工の度合いが問題にならないとしたら、何を優先すべきなのだろうか。
「もっとも避けたいのは、運転席側のトゥイーターが目の前に来ることですね。右ハンドルであれば右側を、できるだけ外側に着けたいんですよ。目の前に来てしまうと右側の空間が狭くなって、良好なステレオイメージを表現しづらくなってしまいます。車種によっては、Aピラーだと目の前っぽくなってしまうことがあるんですね。その場合はドアミラー裏をおすすめしています」
次には、上記の問題が発生しない場合はどうなのかをお訊きした。
「あとは好みですね。場所ごとで、音に関してのメリット、デメリットがありますので、どのような聴こえ方がお好きなのか。
例えば、ミラー裏の場合はフォーカスを合わせやすい傾向があって、定位にこだわるのであれば向いている場所ですね。かつ、ステージと近くなりますので、かぶりつきで聴きたい方にもおすすめです。
ただ、トゥイーターとの距離が近い分、ともすると高域が強いと感じやすいんです。もちろん調整で対処しますが、曲によっては高域の強さを感じることもあるかもしれません。少しの違いが目立ってしまうんです。高域はソフトなほうが良いという方には、ミラー裏は向かないかもしれませんね。
対して奥に着ける場合のメリットは、ステージの広さや奥行きを出しやすいことです。ただ、反射の影響が強くなってきますので、どちらかといえば、フォーカスをシャープに表現するのには不利があります。
とは言っても、これについても調整で追い込むことは可能ですし、それぞれのデメリットを気にし過ぎる必要はないでしょう。メリットのほうを重視して検討されるのが良いと思います」
さて、それ以外で考慮すべきポイントはあるのだろうか。
「ミッドウーファーとの位置関係も考慮したいですね。リスナーとの距離が同距離であることが理想とされますが、むしろトゥイーターのほうが少し遠いくらいのほうが、もろもろをコントロールしやすいようにも感じています。
あとはトゥイーターの特性ですよね。指向性が強いか否か。ここも考慮したいポイントです。指向性が強いとスイートスポットも狭くなりがちです。となると角度は正対させたくなります。その場合、近くに置くと高域のきつさのコントロールが難しくなるので、Aピラーのほうが無難かもしれないですね。
とはいえ、とにもかくにも最後は好みですから。場所選びにおいても、あれこれ考えると楽しいと思います。せっかくのカーオーディオです。すべての要素を楽しんでいただきたいですね」
今回は以上だ。トゥイーターの「取り付け位置」を選ぶにあたっても着眼点が多々ある。もろもろを考慮しつつ、悩みながら楽しみながら、ベストな位置を探ってほしい。
次回は来週の土曜と日曜に更新予定だ。今後は、「角度」、「クロスオーバー」について深掘りしたいと思っている。次週も当特集を、ぜひぜひチェックしていただきたい。
《text:太田祥三》