「ワイドFM」が始まっていることをご存じだろうか。今月の【カーライフよろず知恵袋】では、これが何なのか、どのようにして楽しめばいいのかをじっくりと解説していく。まず今週は、その概要からお伝えする。
2015年の12月7日の午後1時から、東京のAMラジオ局の3局、ニッポン放送、文化放送、TBSラジオが「ワイドFM」の放送をスタートさせた。実は、それよりも前から「ワイドFM」を開始していた放送局は全国で11局あり、そして今年の春までには、全国のAM局の約半数が開始予定だという。今まさに、広がっている真っ最中、というわけだ。
これが何かというと、つまりは「AM放送をFM電波でも聴ける、新たなラジオの形態」ということになる。AM局で放送している番組が、同時にFM電波でも流されるのだ。使用される周波数帯は、90.1MHzから95MHz。リスナーは以前のようにAM電波でそれを聴いてもいいのだが、対応するラジオがあるのなら、FMで受信したほうが電波状況が良い。よりクリアなコンディションでAM放送が楽しめるのだ。
ちなみに、これまでの通常のラジオチューナーは、90MHzまでしかFM電波を受信できない。なので、「ワイドFM」に対応したラジオを用意しないと、これを楽しめない。
ただし、最新のカーナビ、カーオーディオ・メインユニットの多くはこれに対応している(具体的な機種については連載の後半でご紹介していく)。つまり、最新の機器に買い換えさえすれば、これを聴くことが可能だ。
ところで、なぜ今になってこのような形態のラジオ放送が始まったのだろうか。その背景には、「地デジ」がある。「地上波アナログ放送」が終了し、そこで使われていた周波数帯が空き、それを有効活用すべく始まった、というところでもあるのだ。
とはいえ、空いているから、という理由だけで始まったわけでは、もちろんない。あくまでも“有効利用”すべく始められている。
それについては次回に詳しく解説していく。「ワイドFM」の本来の目的と、結果、我々にもたらされるメリットについて掘り下げて行く。次回もお読み逃しなく。
《text:太田祥三》