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『DIATONE SOUND.NAVI』NR-MZ80PREMIその能力のすべてを完全解剖! #5: “リアも使いこなす”という楽しみ方

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#5:
“リアも使いこなす”という楽しみ方

講師:サウンドステーション クァンタム 土屋和之氏

『DIATONE SOUND.NAVI』の上位機種、「NR-MZ80PREMI」の魅力と実力を徹底分析している当コーナー。今回は『“リアも使いこなす”という楽しみ方』と題してお贈りする。Hi-Fiにおいてはリアを鳴らすことは本来ほとんどないのだが、『DIATONE SOUND.NAVI』はひと味違う。それについて、今回も茨城の実力ショップ、クァンタムの土屋さんにいろいろとご教授いただいた。要熟読!

ステレオ再生とは、左右の2本のスピーカーで左右それぞれのchの音を再生し、音像をリアルに表現しようとするものだ。なので、リアスピーカーはHi-Fiの世界では、基本的に必要ない。

しかしながら、クルマの場合は後席に人が乗ることもあるので、リアスピーカーからも音が出るようにしておきたいと考える人もいるだろう。

なので、ハイエンド・ヘッドユニットでも通常、リアスピーカーを鳴らせるような仕組みを持っている。8chのプリアウトを持っているユニットの場合だったら、フロント2ウェイ+サブウーファーというシステムを組んだら、あと2ch余るので、そのchを使ってリアスピーカーを鳴らすことができるのだ。

ただし、フロント3ウェイ+サブウーファーというシステムを組んだ場合は、余るchがなくなるので、リアを鳴らすことは不可能になる。

『DIATONE SOUND.NAVI』の場合は、アンプのプリアウトは4ch+サブウーファー。なので、フロント2ウェイを“マルチ”で鳴らせばリアは鳴らせなくなるし、“マルチ+パッシブ”でフロント3ウェイを鳴らす場合でもリアは鳴らせなくなる。

しかし、2ウェイにせよ3ウェイにせよ、フロントスピーカーを“パッシブ”で鳴らす場合はリアは使える。『DIATONE SOUND.NAVI』はむしろ、パッシブで鳴らすことを重要視しているユニットであるので、その意味においては、“リアを殺さない”という発想を持っているユニットだと言える。

事実、スタンダードモデルの「NR-MZ80」では、“マルチ”で鳴らすことはできないので、リアが使えなくなることはあり得ない。

というわけで、「NR-MZ80」ユーザーならリアは必ず生きている、「NR-MZ80PREMI」ユーザーでも、“パッシブ”で鳴らすならばリアは生きている。

生きているリアを活用すると、楽しみは1つ増える。

今回は、その方法をご紹介してみようと思うのだ。

土屋さんいわく、「リアを上手に使うと、ステージを広く表現できる」とのことだ。左右、前後にステージが広くなるという。ただしこれは、立体感が増す、ということを意味しているのではなく、“部屋が広くなる”というイメージで捉えてほしい。

さて、実際の調整方法の解説に入ろう。



<01>リアのクロスオーバー調整画面。“ハイカット”の調整はできず、“ローカット”のみ、調整が可能だ。

まずは『リアのローカット』から。

ちなみに、リアchに『ハイカット』はかけられない。かけられるのは『ローカット』のみだ。

リアを鳴らそうというのなら、『ローカット』は必ず使おう。特にリアスピーカーが純正のままだったらなおさらだ。下のほうまでしっかりと鳴らせないスピーカーが多いし、デッドニングしていない場合は鉄板もビビりやすい。下の音を切ったほうがすっきり聴こえてくるのである。

まずフロントはミュートしてリアだけを鳴らす。最初はスロープを-12dBくらいに固定して、クロスポイントだけいじってみよう。音が濁らないポイントを探っていき、大体決まってきたら、クロスポイントとスロープを両方いじって、すっきりと聴こえるポイントを探っていく。

ちなみに純正スピーカーだった場合の目安は、200Hz〜250Hzくらいとのことだ(参考値)。



<02>タイムアライメント調整の画面でリアのタイムアライメントも調整できる。左右別々に調整可能だが、ゲインは左右独立になってはいない。ここが難しさのポイント。

次はタイムアライメント調整。これは結構難しい。難しい理由は、左右のゲイン調整が独立になっていないから。

ひとまず、調整方法をご紹介していく。

調整で目指したい最初のポイントは、“リアスピーカーの存在を消す”こと。まずは右のスピーカーの音(フロントとリアの両方)をミュートし、左だけを鳴らす。そして、左のリアのスビーカーの実測値を微調整してみる。そしてリアスピーカーの存在が消えるポイントを探していく。存在は消えたもののうるさく感じる場合にはゲインを下げる。または逆相、正相を切り換えてフロントと上手くつながるほうにしておく。

そして、反対側のリアも調整。フロントを左右とも消して、リアの左右の距離差をあわせていく。頭の後で鳴っている感じを目指そう。

ゲインを左右独立で調整できないので、近い右リアの音がより耳に付く感じなのだが、ひとまずそれはしょうがないことなので良しとしておく。

今度は、左右の距離差を変えずに、フロントスピーカーとの距離を変えてみる。同時に、正相、逆相も切り換えて試しながら。

この時の調整イメージは、“リアの左右2つのスピーカーを1つのスピーカーとして扱う”こと。リアにある1つのスピーカーの存在が消えるように、しかし完全に消さないように…。上手いバランスで聴こえることを目指していくといい。

気を付けたいのは、“フロントの音をキャンセリングしないように”ということ。

この現象が起こっているかどうかは、以下の手順で確認してみよう。

全体を鳴らして、そしてリアだけを切ってみる。そうするとフロントの音がぐわんと出てきた…。これはフロントがキャンセリングされていた証拠。

そうではなくて、リアを切った時にフロントの音量は何も変わらず、そしてまたリアを入れてみると空間がぐっと広がる、その上で全体の音質は変化しない、このような状況が、上手く調整できた状況、だ。

タイムアライメント、正相・逆相、ローカット、すべてが影響してくるので、それぞれを微調整させていこう。

結構難しそうだ。ここまで難しいならば、リアは使わない、という選択肢も大いにアリ。ただ、調整好きの人ならば、上手くいったときの達成感は大きいはずだ。『DIATONE SOUND.NAVI』を楽しみ尽くそうという観点に立つなら、楽しみの要素を1つ増やすという意味でオススメだ。

さて、『DIATONE SOUND.NAVI』の奥深さをまた1つ新たに感じていただけたなら幸いなのだが、いかがだったろうか。

次回は「NR-MZ80PREMI」のスゴさを総括する。お楽しみに♪

《text:太田祥三》

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