発売開始から約1か月半が経過してもなお話題沸騰中の『DIATONE SOUND.NAVI』NR-MZ80シリーズ。
プロがこれをどう評価しているのかをレポートしている当シリーズも今週でいよいよ4回目。各ショップそれぞれで独自の着眼点もあり、興味深い話も飛び出しているが、さて今週はどうだろうか。大阪の実力店、カーオーディオスタジアムの桑野さんにじっくりとお話をお聞きした。
さっそく桑野さんのお話をご紹介しよう。まずは以前のモデルNR-MZ60シリーズについての評価から。
「カーオーディオ業界を活性化させたユニットであることは間違いないですよね。ナビとハイエンドユニットが一体化しているというコンセプトにより、カーオーディオに足を踏み込むのを躊躇していた層に働きかけました。ぱっと取り付けてすぐに高級機の音が楽しめるという気軽さが、最大のストロングポイントだと思います」
ここまでは他のプロショップと同様の見解だ。しかしそれだけでは面白くない。敢えて一歩踏み込んで、もしNR-MZ60シリーズに注文を付けるとしたら…、というところをお聞きしてみた。
「高評価しているという前提での話になりますが、ぼく個人としては、ナビと一緒でなくても良かったと思っています。ダイヤトーン・DA-PX1の小型モデル、というシンプルな位置づけのユニットの登場を期待していたんです。もしNR-MZ60シリーズが単体のヘッドユニット、もしくはプロセッサーだったら、もっとリーズナブルになっていたかもしれませんし、さらに高音質に仕上げられたかもしれません。まあこれは、今後に期待したいところですね（笑）」
これはこれで順当な要望だと感じられる。さらに続けていただいた。
「正直に言うと、イコライザーを調整したときに音の鮮度が落ちるのを感じていました。少し触るくらいなら問題ないのですが…。
ぱっと付けていい音が楽しめるところがメリットですから、スピーカーの取り付けに予算を計上されないお客様が多いんです。そうなると、ツイーターの位置、角度、ドアのデッドニングもそれほど追い込めないので、余計にイコライザーを触りたくなるんですよ。ここにはジレンマを感じていました。素性がいいだけに、スピーカーの取り付けを追い込みたい製品だったんです」
さて、新しいNR-MZ80シリーズについてである。
「今、イコライザーの話をしましたのでその部分からお話しますが、NR-MZ80シリーズでは上記の不満が相当に改善されましたね。ある程度イコライザーをいじっても音の鮮度や情報量が落ちませんから、スピーカーの取り付けを追い込めなくても調整でカバーすることがしやすくなりました。『簡単に取り付けて高級な音を楽しめる』というメリットを、より引き出せるようになったんです。
とにかく、明らかにワングレード上の製品に仕上げられていますよね。S/Nが向上していますから、各楽器の音の輪郭がシャープになっていますし、しっかりと分離しています。NR-MZ60シリーズから買い換えなくても良いと思いますが、NR-MZ60シリーズの購入を迷っていた人はラッキーですよね。絶対に『買い』だと思いますよ（笑）」
最後にまとめていただいた。
「純正スピーカーのままでも高級機の音が楽しめますし、システムアップをしていっても満足度の高い音が楽しめます。これからカーオーディオを始めてみたい、という方々には特におすすめしたいですね。手軽に本格オーディオの音を体験していただいて、音が良いことの素晴らしさを実感していただきたいと思うんです」
興味を抱きつつも、まだNR-MZ80シリーズの音を聴いたことがないアナタ！ お近くのプロショップに行って、ぜひ体験を♪
《text：太田祥三》