#27:
第1章 オーディオが止められないワケその1 少年が大人になるとき、その一翼をオーディオが担った…
2013年、第1回目の当コーナー。今回からタイトルをマイナーチェンジ。カーオーディオの面白さ、奥深さについて、松居さん流の切り口で多角的に掘り下げていくコーナーとしてバージョンアップ! まずは、「オーディオが人をひきつける理由」について迫ってみたい。松居さんがオーディオにハマった理由を、計4回にわたって語っていただく。ご堪能あれ!
新年、あけましておめでとうございます。本年も皆様にとって良い年でありますように。そして当連載にも変わらぬお付き合いのほど、よろしくお願いいたします。
さて今回からは、僕がオーディオにハマっていった経緯についてお話したいと思う。オーディオの魅力とは何なのか、そんなことを考えるきっかけにしてもらえたら幸いだ。
僕がオーディオショップの店員になってかれこれ30年、趣味が高じて職業になったので、仕事といっても遊びの延長。年中貧乏暇なしの生活だが、だからといってこの仕事が嫌になったことはまだない。いろいろな失敗もあったが、ほとんどの時間をHi-Fiな装置について考えることとその実験に費やすことができている。専門家として「価値あるもの選び」をお手伝いすることを生業としているわけだが、自分もオーディオが大好きなので、趣味と仕事の区別はやはり出来ない。
自分がなぜにここまでこれにのめり込み、そしてなぜ今もなお飽きないのか…。それを「オタク」と言われても「はいそうです」と答えたいと思っている。
僕が音楽、そしてオーディオにハマった最初のきっかけは、中学生の頃にさかのぼる。友達の家に遊びにいった時、その友達の兄貴の部屋から聴こえてきたレッドツェッペリンの「ブラックドック」にシビレて以来、音楽の進化に釘付けになり、今に至っている。生きている科学技術と音楽の進化には共通する部分があると感じている。僕が音楽に興味を持ちはじめた時期は特に、音楽が躍動しているように感じられたものだった。ギターをはじめた友達は、みんなスモークオンザウォーターを弾いて自慢していたし、親に怒られながら、出来るだけ大きな音量で音楽を聴いていた。心をすべて音楽に預け没頭し、覚えるまで聴いた。
友達の中で好みも別れてきてレッドツェッペリン派とディープパープル派が出来て、ジミーよりリッチーのほうが上手いとか、自分が弾けもしないくせに物議を醸していた。
それと同じように僕は、オーディオショップへ行ってJBLだ、いやALTECだとか言って同じように物議を醸してもいた。
少年にとって自分の思想を持つことが大人になることであり、その思想を形成する一端に音楽があり、そしてオーディオもその一翼を担っていたのだ。
オーディオは、自分にとって音楽のイメージを実感する装置でなくてはならなかった。
またその反面、自分にとってそのイメージ、つまりは「音楽への考え方」が変わるきっかけを作ってくれるのも、オーディオだった。
こうして僕は音楽にハマり、オーディオにハマり、今に至っている。次回からは、僕をさらにハマらせることになった感動体験のいくつかを、ご紹介してみたいと思っている。
《text:松居邦彦》