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ダイヤトーン Part.2
松居さんに、ダイヤトーンの車載用オーディオについて語っていただくシリーズの2回目。今回は、フラッグシップスピーカー、DS-SA1を、DA-PX1を用いながらパッシブネットワークで鳴らすシステムを搭載したクルマを題材に、話しを進めていただいた。ダイヤトーンの魅力をひも解く!
ダイヤトーンのフラッグシップシステムをインストールしたアコードツアラーについてお話する。
このクルマのオーディオは、まるでダイヤトーンのデモカーのようなシステム。お客様のカーオーディオに求めるコンセプトが、ダイヤトーンのコンセプトと一致していたため、おのずのこのようなシステムになったのだ。
純正ソースユニットはそのまま利用したい。エクステリアの改造はしたくない。日本語の音楽やオーケストラの”響き”を小音量でも楽しみたい。PCのリテラシーは十分。僕はこういうユーザーは少なくないと思っていて、そういう方にはこのクルマのようなシステムはおすすめだ。多少値は張るが、手に入れてしまえばまるで見違えるようなミュージック & カーライフになる。この価値を理解していただく努力を、今後も続けていきたいと思っている。
さて、そのシステムとは…。DS-SA1、DA-PX1、カロッツェリアX・RS-A99Xという組み合わせでサブウーファーは使用しないシステムである。このシステムを決めるうえで迷ったことといえば、パワーアンプの選択だったが、性能の安定性からカロッツェリアX・RS-A99Xをチョイス。
DS-SA1のトゥイーターはイコライザーがなく比較的ブロードな指向性のためシンメトリー & デザイン重視、ドアパネルもなるべくオリジナルデザインを壊さない範囲で取り付けを行った。
ダイヤトーンのプリアンプ & スピーカープロセッサーDA-PX1は、フルレンジのオーディオバンドを一旦分割し、再結合することができる。この機能はパッシブネットワークを使用したスピーカーシステムであっても、マルチアンプでタイムアライメントを調整したときと同じ位相整合を実現するため開発されたプログラムで、家庭用ではパイオニアが「フルタイム・フェーズコントロール」という技術を使っているが、それと極めてよく似ている。
このプロセッサーは音質を最優先する方法として、調整エンジンを外部コンピューターに一任し、書き換えた後は純粋なD/Aコンバーターとして動作するように設計されている。
これによる抜群のS/N感はスピーカーの持つ余韻の美しさを際だたせる。しかしこれは少しだけ僕らを困らせる。それは調整し終えて書き換えが終わるまで結果がシステムに反映されないため、調整のテンポが難しい。調整変更がシステムに反映されるまでの数秒間、頭の中からイメージが消えないよう集中している必要があり、音楽も完全に覚えているくらい聴き込んだソフトで行わないと、迷路に迷い込む事にもなりかねない。
ところで、レジェンドがなくなった今ではHONDAの最上位車種であるアコードのコクピットは、華美ではないが落ち着いた雰囲気だ。このオーディオシステムは、そこに上品な雰囲気を加えることになり、このクルマの居心地を格段に向上させてくれている。
さて、その音だが…。アクティブで駆動させるシステムと比べれば、解像度的な性能(レゾリューション)は一歩譲るが、その分リラックスした雰囲気で音楽を楽しむ事が出来る。クルマを選ぶときの、高いバネレート & ショートストローク大容量ダンパーでダイレクトに自分と向き合えるクルマを選ぶか、快適な乗り心地のサルーンを選択するか、というところで迷う感覚に似ている。
このクルマの音を聴いていると、わざと遠回りして、シンフォニーを全楽章満喫したいと思わせる。またその後も聴き疲れの残らない、そんなオーディオシステムだった。
ちなみに、もしこれ以上の音を望むというなら、もう1台、PX1の本体部分を追加すれば、それも叶うのかもしれないが…。
《text:松居邦彦》