進化を遂げてきたMycar-lifeデモカーだが、今回はデジタル・ケーブルにメスを入れた。
これまでオーディオテクニカの光デジタルAT7491を接続していたが、これと並行してコアキシャルのAT7495を併設することになったのがそれだ。ヘッドユニットにはMM−1を搭載しているが、そのスマート・インターフェースから光とコアキシャルの両方で、BitOneに入力する仕組みである。
AT7495は、AT7795Rexatのジュニアモデルとなる製品で、その周到な設計を忠実に継承している。中心導体はOFC金メッキ線とOFC線とのハイブリッド。2種の導体を使用することによって、双方の特質を巧みにいかしている。また絶縁にはポリエチレンを採用し、耐熱性にも配慮した。
厳重なシールド構造はまさしくRexat譲りで、まずポリエチレン絶縁体の外側をアルミシールドで被覆。さらにOFC編組によるシールドを二重に設け、その間は二重巻きのテフロンテープで絶縁している。さらに最外周は耐熱性PVCシースで覆い、クルマの熱環境に十分な対策を施した構造である。
プロセッサーのスイッチで光と同軸は簡単に切り替えることができる。そこで興味深いのは、同等のグレードのケーブルでありながら光とコアキシャルの違いがかなり明確に認識できることだ。
光では高域の鮮やかな解像力が全体の中で特徴となり、音調は比較的さらりとした感触である。これに対してコアキシャルでは中・低域が厚くなり、情報量も増した印象がある。このためミッドウーファーの鳴り方がよく、より低いところまで把握することが可能になっている。
アカペラはアルトの肉質感が高まり、ハーモニーの響きが厚い。ソプラノの鋭さは控えられ、エネルギーがやや下の方へ寄って安定感が高くなっている。オーケストラも低音弦やティンパニーの表情が濃く、トゥッティでの力感や起伏の深さが一回り広い。ボーカルのベースがくっきり聴こえ、声の音色がナチュラルで落ち着いたものになっている。この点で光はやや若々しい手応えなのが対照的だ。
比較するのが目的ではないが、図らずも面白い結果になった。好きずきという面もあるだろうが、ケーブルによる変化が実感できる。
クルマでデジタルというと光というイメージがある。ノイズが混入しにくいという利点があるからだが、ホームでは逆にハイエンドのほとんどはコアキシャルだ。実際音調や情報量という点ではコアキシャルに軍配が上がりそうな気もする。その点を見直してもらいたいものである。
《text:藤澤純一》